読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ひとりごと

ぐだぐだと思ったことを思ったままに

完全妄想物語





10年前のあの日、季節外れの雪が降らなかったら…





プルルルルルル…
電話の音に起こされた。
「こんな時間に誰だよ…」
時計を見ると朝の4時だった。まだ日も登っていない。
「はい」
寝ぼけ眼で電話に出る。電話主の確認なんてしていなかった。
「えっ………」
眠気はどこかに飛んで行っていた。言葉としては理解していても実感がまったく湧かなかった。
「とりあえず準備だ…」
集合は1時間後だった。のんびりしている暇はない。慌てて準備をして家を出る。外はうっすらと明るくなっていた。


「おはよ」
久しぶりにクローゼットから引っ張り出してきたコートを脱ぎながらメンバーと声を交わす。いつもだったら騒がしい仲間たちも今日ばかりは何を話していいのかわからないようだった。
「やっとここまできたんだな」
「ここがゴールじゃねぇよ、ここがスタートだよ」
「ドッキリじゃねぇよな」
「ちげーだろ、たぶん…」
「頑張ろうな」
「当たり前だ」
噛みしめるように言葉をつぶやく。ここまで10年かかった。腐りそうにならなかったと言えば嘘になるが諦めなくて良かったと思う。この先も今までと同じように辛いことが待ち受けてるのはわかりきっている。でも、俺にはこいつらがいる。





「まだまだ盛り上がれるかー?」
2時間半前に始まったコンサートも、もう終盤を迎えていた。目の前にいるたくさんのファンの子たちを見て胸が熱くなる。ここまでの道のりは長かった。デビューしてからも決して順調とは言えない道を辿ってきた。自分が思い描いていた世界とは程遠くいっそのことやめてしまいたいと思った時もあった。だけど、ここからの景色を見てやめなくてよかったと心の底から思った。そして、これからも死ぬまでこの仕事を続けていきたいと思った。最後のバラード曲でメンバーが順番に挨拶をしていく。
グループでよくやっていたいじり芸がキッカケでバラエティに呼ばれるようになり今ではゴールデンタイムのバラエティ番組にレギュラー出演している深澤は最年長として影ながらグループを支えてくれている。ショタ好きは相変わらずで今でも小さい子たちを飯に連れて行ってるみたいだ。そういえばこの前『辰哉ママ』なんてCDも出していたような気がする。
アニメオタクの佐久間は先輩の宮田くんと一緒に出演した番組で爆笑をかっさらい今ではアニメの声優を務めている一方でその高いダンス技術も買われ日本国内の舞台のオファーがひっきりなしに来ている上に海外からのオファーも最近増えてきている。最近ではトイプードルと呼ばれることもあるようで今日もトイプー団扇を5000本は見かけた。
最年少の阿部はその秀才を生かして気象予報士となり朝の番組のお天気お兄さんとして活躍している。その好青年さは朝の番組にピッタリで高齢の方からは孫のように可愛がられる一方で時々突拍子のない発言をしては世間を賑わせ若者からの人気も絶やすことはない。昨日はダジャレがスベってお天気コーナーが上手く締まらずアナウンサーさんに苦い顔をされていた。
岩本は強面の顔からは想像もつかない菩薩のような笑顔でファンのハートを掴みまくりグループの軸としてグループを支えてくれている。ドラマでは悪役が多かったものの最近は役幅もだいぶ広がってこの前は突然シングルファザーになってまだ小さい双子の男女を育てるドタバタコメディなんてのをやっていた。
宮舘は時代劇を中心に舞台やドラマに出演していてこの前助演男優賞を受賞した。主演男優賞ではなく助演男優賞というのが宮舘のいいところだ。幼稚園からの幼なじみは相変わらず俺の隣にいてくれていつも俺の支えになってくれている。こいつは数年前に結婚して今では立派な2児のパパだ。もう俺の家に自転車を見せに来てくれることはないと思っていたがこの前宮舘の息子が初めて買ってもらった三輪車を見せに来てくれた。
俺、渡辺翔太は『なべしょとワイワイしようぜ』という冠番組で司会を務めているのだがなんとこの番組が今年度から深夜帯を抜け出しゴールデンで放送されるようになった。記念すべきゴールデンタイム第1回目のゲストはタッキーこと滝沢秀明だった。

俺たちSnowManは10年前の季節外れの雪が降ったあの日にデビューした。俺たちのデビューのことを長年考えて色々と行動してくれていた滝沢くんには今でも頭が上がらない。デビューして5年後、今から5年前に社長から聞いた話を思い出す。
『タッキーがいなかったらYOU達はデビューできてなかったよ』
今の滝沢一座を支えているのは俺たちに憧れて入ってきているJr.達だ。俺もとある日本放送協会の番組の司会を務めているので多くのJr.と関わる機会があるけどあの頃の滝沢くんのようには全然なれていないと思う。

ここまで10年かかった。10年目にして初の5大ドームツアー。満席の会場を見て胸が熱くなる。
ここはまだゴール地点じゃない。俺たちも全員が30歳以上の中年グループになったけど現役でバリバリアクロバットをやっている。まだまだいける。
ペンライトの海を見ながらそんなことを考えこれからの頑張りを胸に誓った。

「俺たちが〜?」
『すのーまーん!!』

銀テープが宙を舞う。
たくさんの笑顔が目の前に広がっている。
仲間たちと目を合わせる。
今日も10年前と同じように季節外れの雪が降っていた。

f:id:tmmrytyt:20150408012222j:plain









2015年4月8日、季節外れの雪が降るこの日、滝沢歌舞伎初日おめでとうございます。